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2016年3月11日 (金)

野菜の学校(5) 「三重なばな」取材レポート

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三重の伝統野菜「三重なばな」を取材しました。生産高の多い桑名市長島町、JAみえきた長島営農センターに出荷している生産農家の畑です。お邪魔した2月下旬は、収穫がピークで超忙しいとき。JAの方は、農家さんのジャマにならないように、迷惑をかけないように、とても気を配っておられました。そこへおしかけて、写真を撮ったり話しかけたり…、私たちはとんだオジャマムシだった、と反省しています。

目に入るのは広々とした畑、揃って収穫を待つ「三重なばな」の畝。伝統野菜とは思えない風景です。
それもそのはず、三重の伝統野菜の選定基準は、次の5項目。 

■美(うま)し国「みえの伝統野菜」選定基準
  1. 生産量:生産量が確保でき、市場等に出荷されている
  2. 歴史性:地域で50年以上前に栽培されている事実があり、現在も栽培している
  3. 地域性:地域の祭事等での活用や地域に伝わる郷土食のレシピがある等地域において欠かせないものとなっている。
  4. 商品価値:三重の農産物のイメージアップを醸成できるもので、県外等生産地域外の消費者にも評価されることが期待できる
  5. 品種、品質:品種の純粋性が確保されている。あるいは、現在も伝統野菜としての特徴や一定以上の品質が確保されている
このなかで、1.の「生産量が確保でき、市場等に出荷されている」という基準は特にハードルが高く、これをクリアするにはある程度以上の規模が必要ではないでしょうか。
 
三重なばなのタネは「三重なばなブランド化推進協議会」が毎年更新して生産者に提供し、このタネを使ったものだけを「三重なばな」として出荷しています。この協議会はJA関連の組織と聞きました。伝統野菜をブランド化の大きな動きにつなげていくには、こうした取り組みを辛抱強く続けることが重要だと思います。
 
自治体やJAが伝統野菜を資源として地域の活性化を狙うとき、多くの場合、ゴールイメージは「京野菜」のような全国区のプレミアムな野菜に育てあげることのようです。しかし、ほかにもゴールがあるのではないか、違う方向を探ることも必要かもしれません。
 
▼「三重なばな」は水田の後作
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排水をよくするために畝を高くする。畝の方向は、「伊吹おろし」と呼ばれる寒風を背中に受けて収穫できるように並んでいる。
 
▼収穫用移動車
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▼なばな収穫専用ナイフ
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15~20cmに長さを揃えてカットする。
 
▼手でも採りやすい
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一度収穫したら追肥をして新芽が育つのを待つ。次々にのびてくるので、手が足りないと収穫時期を逃してしまう。

 
▼バラ詰めで出荷
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収穫後の選別、計量、袋詰め作業はいちばん手間がかかるという。そこで、バラ詰め出荷も始まっている。
 
▼ファミレスでも
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全国チェーンのファミレスやうどん店など、業務用にも出荷されている。伝統野菜としては珍しい。ポスターやメニューに「三重なばな」というブランド名が見あたらないのが残念!

「なばな」という流通上の呼称は「三重なばな」というネーミングがモト、といいますし、「三重なばな」の販売先は全国区に広がり、ブランド化は順調に進んでいるようにみえます。今後の問題は、高齢化と後継者不足と聞きました。
 
高齢化と後継者不足は、伝統野菜の世界だけではありません。「国の対策が求められる」という意味を失った決まり文句で終わる、日本の農業の、よく知られている問題です。農の世界を票田としかとらえない人、問題を新たな予算のタネとして育てることをシゴトとしている人だけでは、解決の糸口を見つけることすらむずかしそうですが…。
 

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