野菜の学校(7) 朝熊(あさま)小菜
- アブラナ科、ツケナの一種。
- 主に朝熊山麓に広がる浅間町を中心とする四郷地区で栽培されている。朝熊山麓の底冷えする厳しい寒さと霜に打たれて育つ
- すべて、代々受け継がれた自家採種。ほかの土地で栽培すると、朝熊小菜独特の風味は失われてしまう、という。
- 由来には2説ある
- 平安時代に弘法大師空海(774-834年)が種をもたらしたという説。
朝熊山(555m)は、伊勢地方の最高峰で古くから山岳信仰の対象。825年に空海が朝熊真言密教道場として南峯東腹に金剛證寺を建立したと伝えられている。 - 戦国武将秋田城介実季(あきたじょうのすけさねすえ)が伝えたという説。
秋田城介実季は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての大名。1630年、奥州秋田の城主、秋田城介は平和な時代が訪れた後も戦国大名らしく振る舞って幕府に厭われ(家督不和がとがめられたという説もある)、突然伊勢市朝熊に蟄居させられた。その折りに里人に広めたという。
- 漬けものとして使われる。水洗い後、6%の塩分に、揉んで漬け込む。重石をして3日ほどでできあがる。
- 1980(昭和55)年、朝熊町、一宇田町、楠南町、鹿海町の生産者が朝熊小菜生産組合を結成。
- 栽培された朝熊小菜はすべて農協に集荷。漬けものに加工して販売される。
シャキシャキした食感が特徴。やわらかく、口当たりがよく、クセのない漬けものです。
伊勢市朝熊地区の畑を見学しました。生産農家の庭先にクルマを駐車させてもらい、農道を歩いて10分くらい。それほど遠くはないのですが、畑が現れると、まわりは山間の風景に変わっていました。
肥料のこと、農協出荷のこと、朝熊地域は寒いから「小菜」になること、よそで栽培すると大きく育ち「大菜」というべきものになること、味が違うこと…などなど、谷山さんも家庭菜園で栽培しておられるので、話がつきません。
「朝熊小菜」のルーツについて、谷山さんはこう言っています。
- 秋田実季がもたらしたものであれば、秋田近辺にツケナがあるはずだが存在しない。宍戸藩のあった茨城県にあるツケナ「貝地高菜」はカラシナの仲間なので朝熊小菜の先祖ではなさそうだ。
- 朝熊小菜のルーツはよくわからないが、伊勢地方は江戸時代から「江戸の灯りは伊勢の菜種でもつ」といわれた程、在来ナタネ(ツケナの一種)の栽培が盛んだった。このあたりから固定化した、と想像することはできる。
なるほどね。
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