野菜の学校(9) 「三重なばな」の食べくらべ
▼三重なばな
- 美(うま)し国「みえの伝統野菜」のひとつ
- 「江戸の灯りは伊勢でもつ」とうたわれたほど、古くからのナタネの産地
- 昭和30(1955)年代に、油に代わって、食用の摘み芯の出荷が始まった
- 昭和40(1965)年代に商品名を「ナバナ」に統一。1989年から「三重なばな」としてブランド化
▼のらぼう菜(東京三鷹「冨澤ファーム」)
- 江戸東京野菜のひとつ
- 明和4年(1767)9月、幕府の関東郡代伊奈備前守忠宥(ただおき)により、江戸近郊の天領の村々に配付された「闍婆(じゃば)菜(な)」のタネという
- 分布範囲は、南が神奈川県川崎市多摩区菅地区から、北は埼玉県比企郡ときがわ町大野地区あたり
- 幕府直轄の五日市市が栽培の始まりで、野良に生えていた=野良生え(のらばえ)→野良ぼえ(のらぼえ)→野良ぼー(のらぼー)→野良ぼう(のらぼう)になまった
- 東京都あきる野市日の出町小中野の子生神社には「野良坊菜の碑」がある
- 幕府が菜種油増産のために配布したのではないかという説もある
▼はるの輝(JA岩手ふるさと)
- 1983年に東北農業試験場(岩手県盛岡市)の「トワダナタネ」採種ほ場で、表皮のワックス質のない個体を発見し、選抜を重ねて育成した固定品種で、1994年に品種登録された
- ワックス(植物が虫や病気から自分を守るために作る成分)が非常に少なく、ゆでたときに鮮やかな緑色になる
- 苦みがなく、甘みがあり、やわらかく、青臭みがない
- 花茎の一本重が重く、太い
- 収穫適期間が長い
▽左から「三重なばな」「のらぼう菜」「はるの輝」
▼受講生の食べくらべ評価 ※スタッフのメモから
<Aグループ>
- 和洋のなばなで好みが分かれた。
- 「三重なばな」と「のらぼう菜」は近い印象。「のらぼう菜」は花芽が出て茎が太い。「はるの輝」はふつうの小松菜の葉柄のよう。味も小松菜のよう。
- 「のらぼう菜」は軸に甘みがあって、一番人気だった。「三重なばな」は香りが「のらぼう菜」より濃く、やわらかく、筋がなく、緑も鮮やかで使いやすい印象だ。
- 和はからしあえ、洋は苦みがあるのでマヨネーズやイタリアンに
<Bグループ>
- 「三重なばな」はゆであがりがきれいで、シャキシャキしていて、後味がさわやか。「のらぼう菜」は茎が太く、ぬめりがあり、甘い。アスパラのような感じ。「はるの輝」は濃いグリーンがきれい、苦味があるが、筋っぽい。
- 春らしい味で、おひたし、あえもの、パスタ、いためものに
<Cグループ>
- 「三重なばな」は茎に甘みがあって、香りと味が他と違う。
- 「のらぼう菜」と「はるの輝」は小松菜のような青菜っぽさがあった。「のらぼう菜」が一番好きだったが、繊維が残ったという意見もあった。
- おひたし、からしあえが多いが、「のらぼう菜」と「はるの輝」はいためものに合いそう
<Dグループ>
- なばなといえば「三重なばな」でしょ! 「のらぼう菜」は太い茎がブロッコリーみたい。甘さと辛さがあり、いい菜だなと思った。「はるの輝」はほうれんそうのようで、北のしっかりした土壌で育ったのに納得。
- 「三重なばな」はカキと一緒に酢味でも。「のらぼう菜」はいためものにして、白ワイン。「はるの輝」はしょうゆ味で赤ワイン。
<Eグループ>
- 「のらぼう菜」が茎が太く、甘みがあった。「三重なばな」は味わい深い。「はるの輝」は筋っぽく、さっぱりしていた。
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