SEED VOL_14
「特集の狙い」には、次のように書いてあります。
SEEDは英語で「種」の意味を表します。山形在来作物研究会はこれまで、生産者の高齢化などによって失われつつある作物を継承する活動に主眼を置いてきました。しかし、10年以上の活動を通して在来作物は広く知られるようになり、さらに全国的にもさまざまな取り組みが行われるなど、新たな局面を迎えています。今号のテーマは「在来作物を売る」。「種」を守るために必要な次の課題、売るためのヒントの「種」を探ります。
<目次>
- Vegetable Eyes……東海林晴哉
- 巻頭言「自然災害と飢饉の記録から」……山形在来作物研究会会長 江頭宏昌
- 特集 在来作物を売る-商品化への千恵と工夫
- 寄稿
- 山形県の在来作物情報「最上編」
- 山形在来作物研究会便り「SEED's News」
- 編集後記
▼巻頭言
巻頭言で江頭宏昌先生は、江戸時代に東北地方を襲った冷害を紹介しています。たとえば、天保4年の庄内、正月から5月まで干ばつが相次いだ後、6月末には大雨で洪水になり田畑は壊滅的被害、9月に突然の雪、雪が溶けて稲刈りをしたその稲はすべて10月末の大風で吹き飛ばされ、稲の取り込みが終わったのが12月末。11月末に福島で起きた大地震と大津波に続き、庄内でも12月初めに地震が発生して山崩れ。
これでもかというほど次々に襲った自然災害と飢饉の記録は、現代の私たちに災害を決して忘れてはならず、飽食になれて無防備になってはいけない、と強く訴えています。
毎年「異常気象」「温暖化」と言われ、繰り返される災害に自然からのメッセージを受け取る人も多いと思います。そんななか、日本を襲うさまざまな巨大危機をとりあげたテレビ番組「メガクライシス」が話題になりました。しかしクライシスは、いま始まったことではありません。私たちは昔から日常を破壊する災害を恐れ、それと同居しながら、生きのびてきたのだと思います。
江頭先生は、この記事を次のように結んでおられます。
現代の食料確保のあり方は、立て続けに起きる過酷な自然災害を乗り越える力を持っているだろうか。……(中略)……人々は礼節を忘れずに素食に耐え、身の回りの自然を活用して生きる知恵を発揮できるだろうか。山菜や保存食を食べる伝統的な食文化はそうした知恵を伝える手助けをしてくれるのではないか。古文書は地域で生きる力を忘れるなと我々に語っているように思えてならない。
▼寄稿
東北大学非常勤講師佐々木寿先生が寄稿しておられるシリーズ記事「東北地方の個性的なダイコン在来種」、今回は「小瀬菜大根」について、。佐々木先生には[野菜の学校]でもお話ししていただいたことがあり、懐かしく読みました。
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