会津余蒔(よまき)きゅうり
「余蒔きゅうり」というコトバは、以前、稲山先生から聞いたお話に出てきました。そのとき先生は「1960年代後半の八百屋の店先には“余蒔きゅうり”という表示札が立てられ……消費者は、八百屋から余蒔きゅうりというものがおいしいきゅうりであることの説明を聞かされ……余蒔きゅうりは夏のきゅうりであり、当然のことながら‘白いぼ’の品種であった」とおっしゃっていました。
つまり「余蒔」というコトバは、もともと農業や栽培の世界でフツーに使う一般名詞だったわけです。ところが、夏に採れる白いぼのブルームきゅうりは、いつの間にか世の中から消えていった。だから、会津で「余蒔きゅうり」が復活したとき、固有名詞にすることができた、というわけです。もちろん「会津余蒔きゅうり」は、栽培時期が6月から霜が降りるまでの、白いぼのブルームきゅうりです。
八百屋の店先に「余蒔きゅうり」という表示があった1960年当時、「会津余蒔きゅうり」はジーンバンクで眠っていました。復活の経過は次のようです。
- 75年前、1940年代半ばに栽培が途絶えた
- 2008年に福島県農業総合センターが、ジーンバンクから取得。栽培実験をはじめた
- その後スローフード連絡協議会がタネを譲り受け、復活
- 現在、10件の農家が栽培を続けている
<在来きゅうりフェスタ>にやってきたのは、会津 門田(もんでん)飯寺(にいでら)地区、長谷川純一さんの「余蒔きゅうり」です。この地は「余蒔きゅうり」の採種地として記録が残っていた、といいます。「加賀太きゅうり」の原形という説もあり、江戸時代の栽培方法に近づけているそうです。
【伝統野菜プロジェクト】のメンバーはフェスタの前に畑にお邪魔して、長谷川さんの「人と種をつなぐ伝統野菜」への熱い想いをうかがい、当日、報告しました。
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