「島うり」または「島きゅうり」
ウェブに島うりの画像はたくさん掲載されていますが、情報は少ないようです。一つ確からしいものを見つけたのは、「平成17(2005)年度 国土交通省 奄美群島生物資源の産業化・ネットワーク化調査」において作成されたという「奄美群島生物資源Webデータベース」。
これによると、「島うり」は、奄美大島、十島村にて古くから栽培される在来品種。十島村は、屋久島と奄美大島のあいだに点在する、トカラ列島と呼ばれる島々です、口之島など有人7島と5つの無人島、計12の島で構成されています。やはり、こういうところに在来作物は残りやすいんですね。
「うり」と呼ばれるきゅうりは、奄美の「島うり」だけではありません。{日本の伝統野菜・地方野菜講座]を開いていたときに出合った岩手の「地うり」や山梨の「茂倉うり」。それから山本農園の「翡翠うり」、ちょっと思い出すだけでも、これみんな「うり」と呼ばれているきゅうり。調べればもっとあると思います。
江戸東京野菜の大竹道茂先生は檜原村で出合った「白岩瓜」という名前の幻のきゅうりについて、ブログでレポートしておられます。
▼「うり」と呼ばれているきゅうりたち
どうしてきゅうりを「ウリ」と呼ぶのかしら。かつて、ウリとキュウリの区別は重要なものではなかったのかもしれない? たとえばウリとキュウリが同時に存在して区別しないと混乱する、という状況にはなかった、つまりどちらか1種類だけがあり、うりには違いないので「ウリ」と呼んでいた…とか? ま、いずれにしても、ヒトの暮らしより先に、植物分類があるわけではありませんからね。
植物分類ではどうなっているか、『植物分類表』を調べてみました。
- 植物は、目⇒科⇒属、と上位ランクから下位ランクへ分類され、きゅうりは、ウリ目ウリ科キュウリ属キュウリ
- キュウリ属には、きゅうりの他、メロン、マクワウリ、シロウリほかが入る
- キュウリ属シロウリには、ハグラウリ、シマウリ(これは縞のほう)、カタウリ(愛知のかりもりなど)、アオウリ…など、「うり」として知られている品種の多くが含まれる
- キュウリ属と同じランクにあるのは、トウガン属、スイカ属、カボチャ属、ユウガオ属、ヘチマ属、ツルレイシ属、ハヤトウリ属ほか
- ハヤトウリはハヤトウリ属、ゴーヤーはツルレイシ属、、ユウガオ(かんぴょうを作る)はユウガオ属、みんなウリ科
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コメント
ごぶさたしてます!
悩ましい存在です。
きゅうり?うり?同じ仲間のようで仲間でないような…
もしかして種の大きさとかで分類しているのですかね…
きゅうりって畑に3日放置で巨大化してヘチマのようなきゅうりになっちゃって
投稿: 松太郎ママ | 2017年9月11日 (月) 23時33分
松太郎ママさん
お久しぶりです。ご覧いただき、ありがとうございます。
きゅうりとうりって、昔は特に分類する必要はなかったんでしょうね。
仲間と「見た目では、イボがあるのがきゅうり、ないのがうりかしら」などと話していたんですけど、今やイボなしきゅうりもありますものね。悩ましい。
投稿: | 2017年9月12日 (火) 10時20分