くだものの秋
▼「優秋」「秋麗」「瑞鳥」「完熟二十世紀」(左から)と、みごとな青ナシのパレード
- ナシ4種をカットして並べ、食べくらべたかったのですが、時間がなく、1種類ずついただきました。
- 4種のナシのうち、「完熟二十世紀」、「優秋」、「瑞鳥」の3種は「二十世紀」の家系です。「完熟二十世紀」は「二十世紀」そのものですし、「優秋」と「瑞鳥」は、「二十世紀」の孫にあたります。
- ニホンナシは自家不和合性で、同じ品種の花粉では受粉しません。そこで、実がつくように、生産者は異なる品種の花粉を人工受粉します。ところが、なしの開花時期は短いので、短期間に作業が集中し、非常にたいへんな作業になる。自家受粉はニホンナシの開発目標の一つになるわけで、今回いただいた、「優秋」と「瑞鳥」は、まさしくそれを実現した新品種です。
- 1980年に鳥取県の長昭信さんが発見した「おさ二十世紀」は、「二十世紀」の突然変異によって生まれた、自家受粉で実をつけるなしです。そこで、この「おさ二十世紀」を親とするなしの育種がおこなわれてきました。
▼優秋 540~550g
鳥取大学が育成した「おさ二十世紀」の孫品種。ネット情報によると、糖度12度の甘みと酸味のバランスがとれていて、女性好みなのだそうです。果重は450グラム、とありますが、今回私がいただいた「優秋」はそれより100gも重い。
農研機構が育成。「幸水」と「筑水」を交配して育成・選抜した中生の青ナシ品種です。「幸水」は赤なしですから、果肉の食感だけが、いかにも赤なし的“sandy”さ。
▼瑞鳥 620~650g
今回いただいたなかで、みごとに大きかったのは「瑞鳥」。これも、鳥取大学が育成した「おさ二十世紀」の孫品種・青なしです。
▼完熟二十世紀 430~480g
「二十世紀」本来の熟期は9月上旬からですが、これまでは早出しされてきたのだそうです。私たちが食べていた「二十世紀」は若かったわけです。これは完熟まで待って出荷しているので、大きくて味がのっていて、確かに今まで食べてきた「二十世紀」とは違います。でも私は、若くて青くてあっさりした味の、ジューシーな青なしも嫌いじゃありません。
2年前、鳥取をテーマにした勉強会を開いたとき、大山町にある、なしの圃場を見学させてもらいました。なっていたのは、すばらしく美しい「なつひめ」と「新甘泉」。
調べてみると「なつひめ(青なし)」は2007年に、「新甘泉(赤なし)」は2008年に品種登録。今回いただいた「瑞鳥」と「優秋」は、2010年の記事に品種登録されたとありますから、もっと新しい品種です。
なしの新品種開発は、着手から品種登録まで30年もかかる、と聞きました。青なしの種類が増え、これから盛り上がりそうですが、すぐれた青なし新品種がいくつも誕生しているのは、30年前から狙っていたのかしら。それともたまたま?……ということはないでしょうね。
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