「牧野野菜」が紡ぐ物語 ②山内家伝来野菜-第1話
「山内家伝来野菜」の山内家とは、1601年に土佐に入国した藩主、山内一豊のこと。下克上の戦国時代、信長、秀吉、家康という3人の権力者に巧みに仕えて権力闘争を乗り切り、関ヶ原の戦いでの功績によって土佐藩主になりました。このとき、ふるさと尾張国の野菜を持ち込んだとされるのが「山内家伝来野菜」です。「牧野野菜」コレクションのなかでは、だいこん、もち菜、きゅうり、なすの4つが山内家伝来とされています。
ちなみに、山内家は「やまのうちけ」ではなく「やまうちけ」と呼ぶのが土佐流。
■第1話 山内家伝来大根
熊澤さんによると、「非常に優秀なだいこん。皮をむく必要がなく、20分で煮える。葉っぱはやわらかく折れやすいがめちゃくちゃおいしい。栽培がラクで、F1のとなりで栽培したら、F1は虫食いだらけなのに、なぜかわからないが、これは虫がつかない」。うーん、すごい!
「山内家伝来大根」は、愛知の伝統野菜「方領だいこん」によく似た姿をしています。「方領だいこん」は、いま私たちがよく食べるだいこんのモトになったという、たいへん重要な品種です。先の方が曲がるのが特徴ですが、だから「市場には向かないのかな」と熊澤さん。
でも、時季になると高知市の何軒かのスーパーマーケットに並ぶそうです。一度買うとリピーターになってくれますが、「伝統野菜だから」ではなく、「すぐに煮える」「おいしい」から。ま、当然でしょうね。
尾張から持ち込まれたこんな形のだいこんなら、「方領」のごく近い親戚であっても不思議ではありません。あるいは「方領」そのものかもしれない。まだちゃんと比較していませんが、いずれやっていきたいとのことです。
▼山内家伝来大根の圃場見学
1月下旬、セミナー前取材に高知へ行きました。そのときに見せていただいた、高知市七ツ淵にある山本巌さんの圃場です。雨まじりの雪が降っていました。
首の色によって畝を分け、白首を選抜しているそうです。
真っ白な首が見えています。葉は見るからにやわらかそう。
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