大江戸味ごよみ 3月19日(火) 目黒のたけのこ
目黒のさんまは知られていますが、目黒と聞いてたけのこをイメージする人はよほどの江戸野菜通。たけのこが目黒の名産品だったのは昭和初期まででした。「白子(しろこ)」と呼ばれる、味、香り、食感のすぐれた逸品でたいへん珍重された、といいます。「白子たけのこ」は京の伝統野菜「京たけのこ」のこと、と思っていましたが、目黒産も「白子」と呼ばれていたわけです。
「京たけのこ」は、約1200年前の弘仁年間(810から823年)に長岡郡海印字寂照院の開祖道雄上人が唐から持ち帰ったという説があります。「白子」つながりで、「京たけのこ」が目黒のたけのこのルーツと考えたくなりますが、そうではなさそうです。
孟宗竹は、江戸中期、元文年間(1736年~1741年)に、薩摩藩が琉球王国を経由して清国から移入した孟宗竹が全国に広まりました。これが将軍家に献上され、目黒のたけのこになったわけです。
▼写真は京たけのこ
「日本の伝統野菜・地方野菜講座」で、京都をテーマにしたときの写真です。「京たけのこ」はほかの地方のたけのこと、姿も味も違いました。食感、香り、甘み、みずみずしさ…。目黒のたけのこはどうだったのでしょうか。
目黒のたけのこを有名にしたのは、目黑不動前にあった料理屋さんの「名物筍飯」で、文人墨客に好まれたそうです。が、今や「目黒なる筍飯も昔かな」(高浜虚子)。
碑文谷の「すずめのお宿緑地公園」には、今も竹林があった場所が残されています。ここでは、2015年から大岡山小学校6年生の総合的な学習として、「目黒のタケノコ復活プロジェクト」に取り組んでいる、と報告されています。いつか、目黑の「名物筍飯」が食べられるお店ができるとうれしい。
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