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2019年6月13日 (木)

てるぬまかついち商店の干しいも

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先日、あるセミナーの出席者リストに名前を見つけて挨拶した照沼勝浩さん。茨城県東海村の干しいも施設を、野菜と文化のフォーラムのメンバーとして見学したのは何年前でしょうか。照沼さんの農産物加工の取り組みは、「6次化」などという言葉が流通するずっと前からです。

セミナー後しばらくして、照沼さんから資料と「てるぬまかついち商店」の干しいもが届きました。農業生産法人「てるぬまかついち商店」の「かついち」は、勝浩さんの父上の名です。

透き通った黄金色の干しいも、品種は「紅はるか」です。やわらかく、甘い干しいもをいただきながら、資料を読みました。以下はそのまとめです。

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■干しいもの歴史

  • 干しいもの製造は江戸時代の後期、静岡県の御前崎で始まった。御前崎沖で遭難した薩摩の船乗りを助け、お礼としてもらったのがさつまいも。やがて栽培したいもを「煮切り干し」にすることを思いついた。これが「干しほしいも」のルーツという。茨城県で干しいも生産が始まったのは那珂湊市(現ひたなか市)で、1908(明治41)年のこと。
  • 現在、干しいも生産の9割が茨城産だが、今から約70年前の1953年時点でトップだったのは静岡県だった。
  • 1904年(明治37)の日露戦争のとき「軍人イモ」と呼ばれ、野戦食だったという。

私にとって、干しいもは子どものときから身近にあった食べもの。だれが作り始めたということなく、昔から伝わったのだろうと思っていましたが、開発された事情がハッキリわかっているんですね。
考えてみれは、さつまいもの渡来はそれほど古くありません。1605年に中国から琉球へ、1615年に琉球から長崎へ、その後薩摩にも入り、青木昆陽が江戸に紹介したのが1735年、といいますから、記録などが残っていても不思議ではないわけです。

■照沼勝浩さんのチャレンジ-自然栽培

  • てるぬまかついち商店の「自然栽培」は、ホームページによると「化学肥料や農薬・除草剤を使用しない方法」。成功するまでには12年間の年月と費用をついやした。収穫量は長いあいだ慣行栽培の30%が続いたが、徐々に回復し2016年から70%、2018年は100%になった。
  • 自然栽培の目的は二つあるという。一つは原発関連の風評被害を乗り越えること。もう一つはこれから何百年と世代をつなぐ農業を実現すること。
  • 東海村の原発関連事故は、1997年の火災、1999年の臨界事故、2011年の福島第一原発事に続き、2013年、2016年にも発生。2017年には、核ゴミのずさんな管理のニュース。そのたびに、茨城県全域で農産物販売は大きな打撃を受け、てるぬまかついち商店も例外ではなかった。いったいゲンシリョクムラは何をやっているんだろう!

風評被害を払拭するために行った土壌の緻密な分析は、照沼勝浩さんが幼い頃から家業を手伝ってきたなかで見てきた、農薬や化学肥料を使う農業から、「風評被害を一切受けない、圧倒的な商品価値を持つ農産物の生産」への転換に結びつきました。それにしても、無農薬・無化学肥料栽培はたいへんなことです。12年間もよくがんばりました。

■照沼勝浩さんのチャレンジ-タンザニア

  • 2013年、JICAの支援を得て、タンザニアでさつまいもの産地調査やテストマーケティングなどを行った。
  • タンザニアはアフリカ大陸の東側、インド洋に面し、北にはキリマンジャロ山(5895m)がある。
  • タンザニアでは原始的な方法で無農薬でさつまいもが栽培されている。その生産量は日本の3倍という。さつまいもを干しておき、湯で戻して食べる保存食もある。
  • 2014年現地法人を設立。法人名「マルトボルワ」は現地語で「干しいも」を意味する。現在、自然栽培の干しいも、芋けんぴ、ドライフルーツの生産・加工・販売が始まっており、ヨーロッパや中東への輸出を計画中。

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干しいもは、いつでもどこでもそのまま食べられ、携帯に便利で、保存でき、適当な甘さがあり、カロリーも多い。保存食、携帯食、非常食にぴったりです。いまや、ミネラル、ビタミン、食物繊維などの栄養成分が豊富な健康食としても注目されていますし、こんな美しさと食感、味をもつ干しいもならナチュラルなスイーツとして人気があるのもわかります。

資料には、東海村が自然栽培干しいもの聖地になり、“hoshiimo”が世界共通語になることを願っている、と書いてありました。その願いが叶う日も遠くない、と思います。

 

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