大江戸味ごよみ 10月19日(土)べったら市
東京日本橋、宝田恵比寿神社のえびす講のときに、参道にべったら漬けを売る店が並ぶ、べったら市。えびす講は、神無月に、神さまが出雲に出かけてしまった留守を守る恵比寿さまに感謝し、商売繁盛、五穀豊穣を祈るお祭りです。宝田恵比寿神社のえびす講参道でべったら市が始まったのは、江戸中期。守貞漫稿「近世風俗志巻之二十七(夏冬)」(1800年)、「十月十九日夜大伝馬町の腐市」の項に「浅漬け大根を売る」という記述があり、この頃とされます。
「えびす講」は冬の季語です。
振売の雁あはれなりゑびす講 芭蕉
元禄6年10月20日(旧暦ですが) 、芭蕉がえびす講の日に詠んだ句。野坡、孤屋、利牛という蕉門の俳人たちと巻いた有名な歌仙の発句です。現れるのは、賑やかなえびす講の通りを雁を売り歩く貧しい行商人の姿。『炭俵』に収録されています。この句が詠まれた元禄6年は1693年、深川で芭蕉が江戸の商人たちと即興を楽しんだのは、「べったら市」が始まるだいぶ前のことでした。
べったら漬けに使われただいこんは、大竹道茂先生のブログによると夏だいこんの「志村みの早生」。それに、米を原料とした麹や砂糖を使うのですから、ぬか漬けよりもずいぶん上等な食べものだったわけです。
写真は板橋産の江戸東京野菜「志村みの早生」。愛知には「美濃早生だいこん」というよく似た名前のだいこんがあるが、別物らしい。
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