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2020年4月21日 (火)

かわさき菅の「のらぼう」-続々

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新型コロナウイルス感染拡大のために来年に延期した、伝統野菜プロジェクト主催のセミナー「のらぼう菜と仲間たち」。そのために進めていた、事前取材のまとめです。
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川崎の菅の「のらぼう」についてあれこれ調べいるうちに、明治大学農学部の元木悟先生が神奈川県、川崎市との共同研究に関わっておられることを知って、思わぬご縁に驚きました。元木先生は、2018年6月に、八百屋さんの勉強会「八百屋塾」でアスパラガスのお話をしてくださったので、存じあげていました。

元木先生の研究室と神奈川県、川崎市による共同研究が行われたのは2015年度からの3年間で、その結果として作成されたのが「のらぼう菜栽培マニュアル」です。この共同研究の背景には次のような経緯がありました。

  • 川崎市は、直売中心で少量多品種の生産農家向けに、端境期の有望な農産物として、20系統(そんなにたくさんあったんですね!)のなかから、「菅のらぼう保存会」が管理する早生種を中心にのらぼう菜を広げてきた
  • 大型農産物直売所が開設され、のらぼう菜の生産地が市内中部から北西部に拡大、生産量も増える中で、品質のばらつきが出てきた。そこで、品質を均一化させ、のらぼう菜のブランド力を高めていくことを目的とした共同研究が始まった

■のらぼう菜栽培マニュアル
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このなかで、髙橋孝次さんが長年の経験を惜しみなく披露しているのが「栽培に関する研究」です。特に主茎を摘心する位置について、「深摘心」すると太い花茎が収穫できるという、のらぼう菜栽培の重要なポイントが紹介されています。
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■「のらぼう菜」から新品種が誕生
これは、「のらぼう菜」の新しい品種が開発されたというニュース。ちょうど今、新品種の愛称を募集中なので、話題になっています。

  • 「のらぼう菜」を調査しているとき、葉に光沢のあるタイプを発見。その後10年間の選抜&育種を経て、2017年に「川崎市農技1号」を品種登録した。市町村の出願に基づく品種登録は神奈川県内初
  • 川崎市では、「川崎市農技1号」の愛称とロゴを募集中。締切は今月末(2020年4月30日)

葉に光沢がある新品種は、見てわかるのでアピールしやすいでしょう。でも、伝統種の生産農家さんは「のらぼう菜は、葉ではなく茎を食べるもの。選ぶときは、葉ではなく茎がだいじ」とおっしゃいます。

「のらぼう菜」のおいしさは茎にあることに注目してもらいたい私としては、葉にスポットライトがあたるのはちょっと複雑な気持ち。でも、この季節に「のらぼう菜」というおいしい野菜があることをPRできるのだから、いいことにしよう。

 

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